WORKSCD / DVD

音楽畑12 Almanach

音楽畑12 Almanach

発売日
1995.7.25
品番
WPC6-8129
価格
¥2,913(本体) + 税

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収録曲

  1. 1.苺摘む朝
  2. 2.一人ぼっちのヴァレンタイン
  3. 3.青春の輝き
  4. 4.4月の魚
  5. 5.エメラルド・アイランド
  6. 6.想い出のジューン・ブライド
  7. 7.七夕
  8. 8.向日葵畑
  9. 9.過ぎ去りし夏~Try Again~
  10. 10.パンプキン・ラグ
  11. 11.アンタレスの煌めき
  12. 12.キーウィ・サマー
  13. 13.クリスマス・セレナーデ

LINER NOTES

苺摘む朝 Strawberry Morning (FM NACK 5『MUSIC HOLIDAY』テーマ曲)

 最近、トマトとか胡瓜とか一年中食べられる様になったのは嬉しいんだけど、時々懐かしく思い出す味がいくつか有る。 塩をつけて丸のままかぶりついたトマトの日向くさい味や、畑から引っこ抜いて来たトウモロコシを皮むいて、そのままかじったあの何とも言えない甘みなんかは、忘れられない。特に忘れられないものに朝摘みの苺が有る。戦争が激しくなって来て食べ物がだんだん手に入らなくなってきたものだから、どの家も自給自足と言うことで家庭菜園を始める様になった。勿論、わが家も例にもれず庭に野菜や苺を植えたのだが、なんたって子供が五人もいたんじゃ焼け石に水。それに素人の悲しさで、折角出て来た芽が次の日は根っ切り虫にやられたりして、たいして腹の足しにはならなかった。 それでも苺は、割に丈夫で小さいけどおいしい実がいくつもなった。早起きした者が食べられると言う訳で、朝露の未だ干ぬ苺畑に駆けつける。 首尾よく葉っぱの裏に隠れていたちいちゃな赤い実をみつけると良く洗いもせず口の中にほうり込む。赤いやつが無くなると、今度はすこし白いやつに手を出すと言う具合で苺畑はすぐに空っぽになる。 あの小さな宝石の様な赤い実のあの甘酸っぱい味は今だに懐かしく思い出す。

一人ぼっちのヴァレンタイン Blue Valentine

 チョコレートをプレゼントするかどうかは別として、この日が恋人達の日で有る事に間違いない。どうせそんなもの貰ったところで、カロリー制限している身にとってみれば関係無いもんねぇ、と言ってみた所で強がりにしか聞こえないことは判っています。 どうも我々の年代にとっては、好きだとか、愛しているとか面と向かって言うなんてえのはベラボウめ、洒落らくせいや、と言うことになる。同感でしょ? とりあえずこの人は賛成してくれると思う。控えめなフリューゲルの音色でバカラックサウンドを聴いて下さい。ささやかな愛の告白です。

青春の輝き The Spring Of Life (再春館製薬所 企業イメージ・ソング)

 最近良く7掛けと言う言葉を聞く。例えば30歳は、3、7、21で21歳、60歳は42歳。それだけみんな肉体的に若くなって、昔なら定年の55歳が、今では38.5歳の働き盛り。 青春とは肉体の若さを言うのではなく、精神の若さを保つ事だと良く言う。そうは言っても、機械にアフターケアーが必要な様に、身体もキチンとメインテナンスを行えば、かなり長く良い状態で使えるのだから、私はもっと未練たらしくヴィタミンを呑んだり、ボディケアーをしたいと思う。又、短い一生の中で、どれだけ青春の輝きと言った様なものを、肉体的にも精神的にも発散出来るかが、人生の勝負だと思ってしまうのだ。

4月の魚 Poisson D'Avril

 光陰矢の如しと言うけど、本当に月日のたつのは早い。特に50を過ぎてからは、一年が一月にも感じられる程だ。先日、そろそろうちも銀婚式かなと思いながら、何か一寸記念品でも贈らなきゃまずいと言うので勘定してみたら、何と前の年にもう終わっていた。ま、いいかというので一緒に食事をしておしまい。何しろ、結婚とはおよそ縁の無い人に思われていたので、日取りを決めるのに苦労した。……というか僕自身は洒落で、4月1日仏滅の日にしたかったのだがそんな事したらみんなエイプリル・フールだと思って、誰も結婚式に来ないよと言われて、しぶしぶあきらめて4月2日にしたおぼえが有る。おかげで盛大な結婚式をあげる事が出来たが、今はもうその式場も焼けて無い。そうです、式場はホテルニュージャパンでした。やっぱり、4月1日にすればよかったかな……と思ったりする。ちなみに、ポッワソン ダブリルとはフランス語でエイプリルフールの事。

エメラルド・アイランド Emerald Island

 世界でもっとも高価な宝石の一つに、エメラルドが有る。あのきらめく様な明るいグリーンの色は、自然界には存在しない。サンクレベールの合成物しか手にとって見た事はないが、あの色には何か魔性が秘められている感じがする。色々と悲劇や冒険のエピソードが世界中に伝わっているのもうなずける。 本物に手の届かない庶民は、せめて緑したたる、エメラルド・アイランドで、一刻(ひととき)のいこいの時間を持とうではないか。 なつかしい青春の想い出はいつもエメラルド色のアバとかスタイリスティックスとか良く聞いたもんだ。 ちょっぴり懐かしいサウンドにしてみました。サーカスも少し若がえって、Do you rememberと歌っています。 ところでエメラルドが、5月の誕生石だと言う事は知ってますよね? じゃあ、エメラルド・アイランドが、アイルランドの別名だって事は知ってたかな?

想い出のジューン・ブライド Memories Of June Bride (岐阜・白川町イメージソング)

 音楽畑の曲が、テレビのドキュメンタリーや皇室関係の番組に使われているのは皆さんも良くご存じだと思うが、この間うちのミキサーが「いや結婚式にも何枚かCD持って行けば大体間に合いますよ」、と教えてくれた。いや本当に、皆さん色々と使って下さって有り難うございます。 そんな事が有ってかどうか知らないが、時々、結婚式場主催の講演会によばれることがある。一応(?)まだバツ印がついていないので、結婚について幾つか話しをする。 一番うけるのは式場の事だ。結婚式場を何処にするかが、いかに大事かと言う話をしてから、自分達がホテルニュージャパンで式を挙げたと言うと、大抵そこでドッと受ける。最近は年齢の故か仲人を頼まれる事が多くなった。大体はお断りするのだが中にはどうしてもと言う事で、今までに6組の仲人をやった。戦績は4勝2敗。そう悪くないでしょう?

七夕 The Star Festival

 日本には数かぞえきれない程色々なお祭りが有るが、七夕さまの様に星の祭りと言うのは、大変に珍しい。 大体、八幡さまとかお稲荷さんとか、お祭りに神様はつきものだが、一年に一回、恋人同士が天の川をはさんでランデブーするお祭りなんて、世界でも殆ど例が無いのではないかと思ってしまう。 ま、もともとは中国から伝わって来た祭りで、雛祭りや五月の節句等と同じ輸入品で有る。大体、中国では星が神格化される例が多く、北極星や、シリウスや、カノープスなんかみんな神様で、特にカノープスは老人星と呼ばれて、一目見ると長生き出来ると言われている。 中国や日本は緯度が高いので、なかなか見る事が出来ない事からそういう言い伝えになったと思うが、少し南の方へ行くと、明るい大きな星で良く見える。ハワイあたりでも良く見えるが、特にハワイの人の方が日本人より長生きするという事は無論ない。

向日葵畑(ヒラソル) Girasol

 スペインの太陽海岸は陽光きらめく素晴らしいリゾート。グラナダから国道を一路南下して行くと地中海にどんとぶつかるのだが、そこからジブラルタル迄の海岸が太陽海岸と呼ばれている。勿論お目当ては太陽海岸だがその途中の町や景色も素晴らしい。特に凄いのは、何処までも続く向日葵畑だ。アンダルシアの抜けるような青い空とあの鮮やかな黄色は本当に良く似合う。 シャンと首をもたげて姿は良く訓練された兵士達の様で、黄色い帽子にグリーンのユニホームの無数の兵士たちが海に向かって行進して行く様な錯覚に陥る。

過ぎ去りし夏 ~Try Again~

 ひと夏の恋、と言う言葉が有る。決してひと秋でも無ければ、ひと冬でも無い。人恋しき春、などとは言っても、ひと春の恋などとは言わない。 どうも夏と言う季節には何か人をやみくもに駆り立てる、魔物のような力が秘められているに違いない。そしてひと夏の恋となれば、悲しみにくれるのは大体女性と相場が決まっている。 ま、もともと男には神から授かった使命の一つに、種付けと言う重要な作業が有る。一つ作業が終わると、又次の作業が待っていると言う訳で、結構つらいんだが、作業の終わった畑の事はつい忘れがちになってしまう傾向が有る。勿論これはあくまでも一般論で、私に関して言うなれば小さな畑も、大きな畑も大事にして時々見回りに行ったりなんかしちゃって、ま、その何と言うか話が一寸変な方向にそれて行ってる様な気もするが、要するに、ひと夏の恋に関して言うなれば、決してこれは僕が悪いんではなく、いや僕じゃなくって男が悪いんではないと言う事を申し上げたかったんです。何しろ神から授かった使命なんですから。いやホント…トライアゲイン。

パンプキン・ラグ Pumpkin Ragtime

 ハロウィンの日(10月31日)、子供達はみんなお化けの扮装をして街にくり出す。あちこちの家でもちゃんとお菓子を用意して、子供達のやって来るのを待ちかまえている。庭には、かぼちゃを顔の形にくりぬいた提灯が灯されて楽しいお祭りだ。一晩さわいで明ければ、世界中の聖者が集まるハローマス。フランス語ではトウッサン。諸聖人祭とも訳される。……と言った大変由緒の有る日の前日です。 明くる日のトウッサンがどの位由緒が有るかってたってなんたって、その日は私の誕生日なんです。ま、とにかく一晩中、パンプキンラグで大騒ぎと行きましょう。

アンタレスの煌めき Scorpio

 かくしてもしょうがないので申し上げるが、私の生年月日は昭和11年11月1日、午前11時です。全部1なので、ラッキーナンバーは1か11という事になっている。 星座はさそり座で、説明を読むと気まぐれだが、情熱的で力強く芸術家に向いているという事で、うん、これはなかなか良い星の下に生まれたもんだとつねづね大満足していたのだが先日ロンドンでレコーディングしている最中スタッフの一人から、新聞の切り抜きをもらった。それによると、何と星占いの12宮は本当は13あるという事が、判ったというではないか……!? その王位天文学会のジャクリーヌ・ミットン博士(46歳)の発表によると新しくつけ加えられた星座は蛇つかい座で、11月30日から12月17日の間に生まれた人があてはまると言う。又黄道上の星座はそれぞれ大きさが違う訳で、たとえばさそり座は、11月23日から11月29日の間に生れた、たった一週間の人の運勢を司どり、魚座なんかは、3月12日から4月18日と一ケ月以上にもまたがる事になる。結論を申し上げると私はその結果、長年なれ親しんで来た、さそり座をはなれ、天秤座に編入される事になったのです。 今迄、あのルビーの様な、さそり座の主星アンタレスの煌めきを、我が物としてながめて来たのに、今年の夏からは、人の物として、羨望のまなざしで、ながめなければいけないとは……。 ま、未練たらしく言わしてもらうが、夏の夜空に火星とならんだりすると、まことに壮観で、中国の故事にも曰く、「焚惑、大火に入れり」などと言う。焚惑(火星)と大火(アンタレス)という2つの赤い星が並ぶと、戦争が起きると信じられていたのだが、美しさには変わりはない。とにかく口惜しいので今回のアルバムは12曲ではなく13曲入れる事にした。なんで12作目なのに13曲入っているのかなと思っている方に、長々と御説明した訳で有る。 因みにミットン博士の新聞の切り抜きを添付しておくのでみなさんも自分の星座と新しい運命を研究していただきたい。

キーウィ・サマー Kiwi Summer (武田薬品工業 アリナミン CM曲)

 ニュージーランドにはもう何回足を運んだだろう、行くたびに印象がその都度違う。ある時は野生の荒々しさ、ある時はまるでヨーロッパを思わせる様なパステル調の世界。 ま、言えばそれだけ奥が深いと言うことか。奥が深いと言えば、長年よその世界から隔離されていたことも有って、植物にしても動物にしても珍しいものが多い。 ワイトモの洞窟で見た土蛍なんかもその最たるものだろう。まっくらな天井に星球の様に輝いている姿は実に神秘的だが、実態は蚊の一種で、幼虫が餌をおびき寄せる為に光を発しているだけに過ぎないと分かれば、やや興ざめだ。しかもその餌たるやなんと大部分が自分を産み落とした実の母だと言うのだから、折角の美しい光りも気の故か兇々しさを感じてしまう訳だ。 土蛍にあまりにも吃驚したもんだから、何か他に珍しいもの有りませんかと聞いたら、キーウィなんかどうですかね、と言う答が返って来た。 キーウィねえ、あんまり珍しくないなあ、と言ったら、いや、それがなかなか最近はそうでもないらしくって、ま動物園に行きましょうやと言うことになった。薄暗がりの檻の前でここがそうだと言う。病気かなんかで寝ているのかと思ったら、そうじゃなくて、もともと夜行性だもんだからわざと暗くして夜状態にしてあるのだそうだ。赤外線にボンヤリ照らされながら、ミミズなんかつついている姿は何とも妙ちきりんで、矢っ張りニュージーランドは奥が深い、と思ってしまった次第で有る。

クリスマス・セレナーデ Christmas Serenade

 木管楽器のスターと言えば、まあやっぱり、オーボエとかフリュートと言う事になるんだろうか。古今東西、名曲も数多いのだが、クラリネットと言うと、やや地味な感じがする。なにか、あまり風さいの上らないはずかしがり屋の青年が、もそもそと女の子をくどいている様な感じがする。と、ある人が言っていたけれど、うなずける節も有る。 モーツァルトはクラリネットが大好きで、フリュートは、あまり好きじゃなかったらしい。一寸不思議な感じもするが、当時、クラリネットが楽器としてすでに完成していたのにくらべて、そのころのフリュートは音程も悪いし、音色ももう一つパッとしなかったのが原因らしい。 さて女の子を口説くと言えば、世界広しといえどもイタリア人の右に出る国民はいない。 夏の夜にマンドリン片手に恋人の部屋の窓の下でかなでるセレナーデなんかは、まさにその最たるもの。 これも夏の夜でマンドリンだから良いんだよとおっしゃるかも知れないが、それでは星空も凍てつく厳寒のクリスマスに、クラリネットのセレナーデをお聞かせしよう。 なんかピンと来ないと言われるかも知れないが、実際にドイツの田舎でそんな風習が有るんです。 ペーター・シュミードルさんは、楽器を持たなければ只のおじさんだけど、クラリネットを持たしたら、こんな色っぽい人はいない。マンドリンなんか足元にもおよびません。 なんたって、親子3代、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団の首席クラリネット奏者なんですから……。

※このライナー・ノーツは、CD制作当時に書かれたものです。