WORKSCD / DVD

音楽畑7 Alc en Ciel

音楽畑7 Alc en Ciel

発売日
1998.11.26
品番
WPC7-8543
価格
¥1,905(本体) + 税
初回発売年
1990年

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収録曲

  1. 1.
  2. 2.夏は緑
  3. 3.エメラルドモーニング
  4. 4.ドーヴァーの白い想い出
  5. 5.ゴールデンウェイブ
  6. 6.紅夢<ゆめ>
  7. 7.オレンジ アイランド
  8. 8.黄昏
  9. 9.薔薇のワルツ
  10. 10.紫野
  11. 11.ミッドナイトブルー
  12. 12.万華鏡

LINER NOTES

虹 Arc en Ciel (サントリー 純生CM曲)

 虹は、消えると判っていても美しい。いや、はかないからこそ、美しいと言えるのかも知れない。
子供の頃、丸い固紙(かたがみ)に色をぬって紐を通して、まわして遊んだ事がある。赤と黄色でまわすとオレンジになるのはなんとなくわかるが、七色にぬると白になってしまうのがどうしても不思議だった。
何の色にも染まる事が出来るのは、哲学的で面白い。
結婚式の時に着る綾衣の綾は白という意味で、だから、何色にでも染まる事が出来る、と、ある人から聞いた。

夏は緑 Green Fields of Summer

 日本庭園の幽玄な美しさは世界中で有名だが、遠近法をうまくとり入れた西洋庭園を完成させたのはイギリス人である。と小岩井農場に勤めている学校の先輩に聞いた。
確かに、ロンドンでも公園は良く手入れされていて、ケンジントン公園なんかも本当に美しい。
もっとも公園だけでなく、一寸郊外をドライブしても、緑の色が実に鮮やかで、ゆるやかな起伏を見せるグリーンの野原に真白なデイジーが点々と咲いているのは、いかにもイギリスらしい。
夏の田園風景だ。

エメラルドモーニング Emerald Morning

 旅に出かけると、僕はいつも早起きだ。
夏なんか、5時頃にはもう起きてしまって、外のいろんな物音に耳を傾ける。慣れてくると、厚いカーテンを閉じた薄暗い部屋の中でも外が晴れているとか、どんより曇っているとか判る様になる。ホラ! よく大雪の日なんか、妙に外が静かな時があるでしょう? ああいう感じで、晴れた日はちゃんと晴れた音がするものです。
さて、先日その良く晴れた朝、横浜の港から船に乗りました。ジャパニーズ・ドリーム号という素敵な船です。何処迄行ったかって? いや、まあ、ほんの神戸迄ですけど、でも楽しかったなあ!
久し振りに見る海の色は、30年前とちっとも変わらない。勿論、朝も6時には完全に目をさまして、ほの暗い部屋の中から外の音を聞く。そっと、船室の丸窓のカーテンを開けると案の定、外は快晴、船は滑る様にエメラルド・グリーンの海をかきわけながらながら進んで行きます。
今日も素敵な、エメラルド・モーニング。

ドーヴァーの白い想い出 White Cliff of Dover

 何となく海が見たくて、ロンドンから車をとばして2時間、ドーヴァー海峡はこよなく晴れていた。
真青な海にそそり立つ、白い壁。
夏とは思えない冷たい空気の中、明るい陽差しに照らされながら何哩も連なっている白亜の崖は何となく淋し気だ。
海峡は、海と陸が出逢う所、恋人達が別れ別れになる所、旅人達が去って行く所。
演歌の文句じゃないけれど、海峡はもともと淋しい所なんだ。僕も空飛ぶ鴎になりたいなー。

ゴールデンウェイブ Golden Wave

 昔、学校で音楽の時間の時にいろんなレコードを聞かされた中で、僕の好きな曲がいくつかある。
スッペの「詩人と農夫」とか、レハールの「金と銀」とか、「双頭の鷲の下に」なんかも運動会のカケッコなんかをすぐ想い出して好きだった。考えてみれば、スッペとかレハールなんていうのは、随分かたよった不思議な選曲をして、子供に聞かせいたもんだなーと思うけれども、「金と銀」は特に好きで、どこまでも続く水面に、キラキラと光が当たっている所を想像すると、気持ちがなごやかになって、そのままどこか遠い外国に船出をする様な気持ちになって来たもんだ。

紅夢(ゆめ) Scarlet Dream (ニチレイ ホワイトパック CM曲)

 中国と紅(あか)は切っても切り離せない。
中華まんじゅうの紅(べに)やら、春風に翻る酒旗の紅(くれない)やら、可憐な桃のつぼみの色、正月に家々の入口に貼るおめでたい護符の色、招興酒の瓶にだって紅いラベルが貼ってある。中国では、紅は万物の生命の源の色であり、おめでたい色、吉祥の印である。 紅楼夢、紅中、紅旗、紅いランタン……。
僕の中国は遠く紅い霞の中にボヤーッと、何だかあんまり実体の無いまま、ただなつかしく夢の様に浮かんでいる。

オレンジアイランド Orange Island

 今年の1月、カリブに浮かぶ小さな島、セントルシアを訪れました。
人口約15万人の本当に可愛らしい島です。
飛行場に着いたのはもう夜で、まん丸なお月様に照らされたジャングルの道を走っていると、ピーポーピーポーという不思議な音が、森のあちらこちらから聞こえてきます。こんな夜中に何だろうと思ったら、なんと蛙の鳴き声でした。小さな親指位の茶色い蛙で、あんまりきれいな声なので、日本に連れて帰りたかったのですが、このピーポー蛙、セントルシアを一寸でも離れると、すぐ弱って死んでしまうそうです。

黄昏 Twilight Pale Moon

 黄昏時は一日の内で、生者と死者が逢える唯一の時間らしい。明暗、黒白、陰陽、この世とあの世。世の中には対局するまったく違う二つのものがあって、明るい陽差しのもとでは、お互いにそれぞれの自分を主張していたものが、黄昏時の淡い光の下(もと)、すべては溶け合って一つになろうとする。ほんの短い黄昏時は、ほろびるもののはかなさと、消えて行くものの哀しさを持っている。
西に落ちて行く細い三日月の影も、行き交う人のほの白い顔も、みんな美しい。

薔薇のワルツ Rose Waltz

 ロンドンにも色々と名所は多いが、意外に見落とすものの中に、ケンジントン公園のバラ園がある。バラはイギリス人の大好きなバラだけあって、何処に行っても一寸した小さな生垣なんかがある訳だが、ケンジントン公園のバラ園は圧巻だ。
6月の良く晴れた朝、一寸露なんか含んだつややかな花びらは、例えようもなく、ぜいたくで女王の風格がある。色にも色々な種類があって、同じ赤でもそれぞれ微妙に色合いが違う。
もう何年前だったか、東京音楽祭のゲストで来た何とかというボンドガールの女優さんに、僕が一寸風邪気味だと言ったら、ビタミンCがあるから食べなさいと言って、真紅のバラの花びらをすすめてくれた。その時のいたずらっぽく笑った彼女の笑顔と、意外においしかった(?)バラの味が今でも忘れられない。

紫野 Purple Dawn

 今の時代は、世界的に無宗教の時代だとよく言われる。確かに結婚式は神前で、クリスマスディナーショーなんかにも行って、死ぬ時は仏教なんていうのは、日本ではごく平均的な生き方だと言えよう。だからと言って、我々が神の存在を否定したという訳ではない。特に我々日本人は、伝統的に超自然的なものを恐れ、敬う風習がある。
「何事のおわしますかは、知らねども……。」で、神社へ行けば手を合わせてしまったり、お地蔵さんに、赤いよだれ掛けを掛けてあげたり、お彼岸には、ちゃんとお墓の掃除に行ったりする。
僕も、お寺に行くのは大好きだ。特に奈良と吉野がいい。お寺に行くと、理屈ぬきに心が落ち着く。
日本人に生まれて良かったなあ、と思う。

ミッドナイトブルー Midnight Blue

 さて、また船旅の続きです。勿論、船はジャパニーズ・ドリーム号。
船旅は、朝も良いけど、夜もまた良い。
波の穏やかな暖かい夜に、デッキチェアーにでも横たわって空を見上げてごらんなさい。たまりませんねー。降るような星空とは、特にこの事。全天に白くぼや-っと煙るようなミルキーウェイ。細い三日月は西の海に傾いて、ルビー色のアンタレスは、まるで手が届きそうな南の空に輝いている。
漆黒の闇と良く言うが、星空のきれいな晩は、空も一寸お洒落に、ミッドナイトブルーの衣を身にまとう。

万華鏡 Kaleidoscope

 一寸、手を動かしただけで、あんなに美しかったものが、粉々に壊れてしまう。
壊れるだけでなく、又、別の美しいものに変身していくのは、はかなく悲しい。
動かしてさえいれば、次々に美しいものが誕生するのなら、僕は一日中カレイドスコープを回し続けたいと思ってしまう。

※このライナー・ノーツは、CD制作当時に書かれたものです。