音楽畑 Champs de la Musique
収録曲
- 1.大地のめざめ
- 2.シャトレ-公園
- 3.カシュガル・夢街道
- 4.花想い
- 5.Champs de la Musique(シャン・ドゥ・ラ・ミュージック)
サントリービールCMミュージック - 6.漁火
- 7.恋風前線
- 8.春雷
- 9.ディオリッシモ・残香(のこりが)
- 10.別れの詩(うた)
LINER NOTES
「音楽の自然食」のススメ
“音楽の自然食”と急にいわれても、ハタと合点いただける方は、ほとんどいないだろう。化学肥料を使用せずに、ていねいに手をかけて作られる穀物や野菜が“自然食品”とよばれているように、作曲上、自然な音の流れを大事にし、アレンジ上、シンセサイザー等の電機楽器をもとりこんで、アーティスティックな音作りをした音楽を、“音楽の自然食”とよばせて頂きたい。この音楽を耳にすると、心は大きく開き、神経は弛緩する。ストリングスのアンサンブルは心の窓を開き、流れるメロディーは想いを遠い地平線の彼方にいざなう。またたとえで恐縮だが、音楽の在来線に乗り込み、心の故郷に帰る旅へ出ることとなる。新幹線で古里には帰れない。実際この音楽を聴いた多くの人が「故郷の野山の懐にいだかれる心持ちがする。」と述べている。これは作曲者の思い入れの反映でもある。技巧的かつ器楽的なメロディーを避けた、歌うように流れるメロディーは、人の心のヒダに染み透るように入りこむ。音楽を通じて、安定した精神状態を現出しようとする作曲家の努力に他ならない。自然食品を愛好する人々は、体を鍛え、内蔵をいたわり、安定した精神状態を求める。このことは、高ストレス時代に生きる、動物としての人間の自然な、当然の反応だろう。この生物、人間が、現在のポップ・ミュージックのメイン・ストリームの華美に流れがちな音楽に対して出した、一つの回答が“音楽の自然食”なのだ。
今一度、深く椅子に体をあずけ“音楽の自然食”を心ゆくまで味わっていただきたい。
※このライナー・ノーツは、CD制作当時に書かれたものです。