WORKSCD / DVD

音楽畑13 Congratulation

音楽畑13 Congratulation

発売日
1996.7.25
品番
WPC6-8224
価格
¥2,913(本体) + 税

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収録曲

  1. 1.懐かしのプロム
  2. 2.収穫祭
  3. 3.処女航海
  4. 4.金婚式
  5. 5.ファイナリスト
  6. 6.くしゃみ
  7. 7.七福神
  8. 8.花祭
  9. 9.入学式
  10. 10.初日の出

LINER NOTES

懐かしのプロム Prom Nostalgia (NHK-FM『ポップスグラフィティ』テーマ曲)

 アメリカ映画の青春もので良く出てくるのに、“プロム”というやつが有る。高校卒業の前のお別れのダンスパ-ティーの事で、その日、誰とパートナーになって、どんなドレスを着るかというのが、女子学生にとっては、とても大事な事らしい。 男子学生にしても、お目当ての女性に、すでに先約が有ったりして、お手軽な青春もののストーリーなんかには、丁度良いテーマとなる。まあ、これはアメリカの話で、日本ではあまり聞いた事がない。勿論我々の時代にはこんなものはなかったが、時々運動部なんかで、資金集めでパーティーを開く事なんかは、有った。パーティーの2ヶ月前位になると、わら半紙にガリバンずりの入場券、いわゆるパー券という奴が、まわって来る。どこかへ行って、売ってこいという訳だ。男子は正価だが、女子には、うんとダンピングして、ハクいスケ(美人という意味)だったら、只でも良いからなどと言われて、売りに行かされたもんだ。 当日は、スイングのコンボや、ピアノトリオなんかが入って、上品なもんです。せいぜい派手な奴がジルバを踊る位で、誠におとなしいもんでした。それでもすみっこの方でチークなんかする奴がいたりして、良かったねー。

収穫祭 Bon Appetit (日本テレビ系列『ごちそうさま』テーマ曲)

 ヨーロッパ行きの船の中でのお話です。夕食で、テーブルを囲んだ4人の紳士。フランス人3人と、日本人1人の組合せ。食べ始める前に必ずフランス人が、立ち上って“ボナペチ”と言う。ボナペチが、フランス人の名前だと勘違いした、件(くだん)の日本人。船がマルセイユに着くまで毎回自分も立ち上がって、“鈴木です!”とやっていた……という、今は、昔の物語り。

パース PERTH

 ヨーロッパ行きの船の中でのお話です。夕食で、テーブルを囲んだ4人の紳士。フランス人3人と、日本人1人の組合せ。 食べ始める前に必ずフランス人が、立ち上って“ボナペチ”と言う。ボナペチが、フランス人の名前だと勘違いした、件(くだん)の日本人。船がマルセイユに着くまで毎回自分も立ち上がって、“鈴木です!”とやっていた……という、今は、昔の物語り。

処女航海 Maiden Voyage

 正直に言って、この「処女航海」という言葉には抵抗が有る。なんで、「童貞航海」じゃいけないんだ、と怒るのは、馬鹿でしょうか。航海と言う言葉は、フランス語だとla voyageで、女性形だから、処女航海でも良いのかもしれないが、肝心の航海している船そのものは、le bateauで、男性形になる。じゃ、「童貞航海」でも好いじゃないかと私は思うんですが、どんなもんでしょう。 そんな騒ぎをよそに、船は、月光輝く大海原を滑る様に進んで行く。こんな航海は、昔風の麗人とぜひ御一緒したいものです。

金婚式 Golden Anniversary (FM NACK 5「トレンディー・ブリーズ」エンディング・テーマ曲)

 もう今から10年程前になるが、うちもそろそろ銀婚式だねーと女房と話していた。パーティーやろうとか、あれが買ってほしいだとか散々盛り上がってから、二人で指を繰っていたら、アレ? なんだ去年もう銀婚式は終っていたんだ……という事で、結局2人で食事に行って終り。 うじゃじゃけた様な、何も買わなくて、もうかった様な、まあ、うちらしいと言えばうちらしい、と言うB型家族のお話しで有りました。まあ金婚式はちゃんとやろうか等と言っておりますが、どうなる事やら……。

ファイナリスト Finalist

 世の中には、くじ運の強い人と、弱い人がいる。これは生まれつきのもので、おみくじなんか引いても、必ず大吉を当てたり、お年玉葉書なんかでも、そんなすごいもんじゃなくても、何かチョコチョコと当たる人がいる。 僕はまったく、くじ運の悪い方で、山程いただく年賀葉書も一切当たったことがない。宝くじなんか、始めからあきらめてるから買った事もないし、賞というものなんかも、ほとんど縁が無くて、昔、ブラジル音楽祭で5位になったのと、この音楽畑アルバムが、レコ-ド大賞企画賞をもらった事ぐらいかなー。 そうそう今迄で一番うれしかった奴があるのを忘れていた。 ちょうど戦争中、物の無い頃で、隣組何世帯かに、アルマイトのお弁当箱がたった一ケだけ割当で来た事が有った。勿論、みんながほしい訳だから、当然くじ引きという事になる。何しろ、物資統制という事で金物の弁当箱なんか一切無くて、ベークライトやら、杉の木の弁当箱をもたされていた私としては、ごはんに、木の香りや、ベークライトの紫色がついてくるのが死ぬ程いやだった。 これは何としても…という事で祈る様な思いで引いたくじが、なんと大当り……!! あくる日から、晴れて、ピカピカのアルマイトのお弁当箱を持って学校に行きました。今だにおぼえているんだから、余っ程うれしかったんでしょう。以後、何かに当たったことは一回も有りません。 オリンピックだって、決勝に残る人は、実力以外の何物かが、作用するらしい。その日のコンディションから天気迄、要するに人生はくじ運ですよね。ま、良い物に当らないかわりに、悪いものにも当らないんだから。まあ良いとしようか……。

くしゃみ Bless You !

 あれは何時だったか、ホンコンから乗った飛行機の中の事。超満員で、たまたま座った通路をはさんで、中国人の夫婦と一緒になった。ちょうど食事時で、スチュワーデスが、オードブルのトレイを運んで来た。色々と説明をして、さて、どれになさいますか? と言うことで、まあ、あれこれ指さして、皿にとり分けてもらうのだが、中国人の奥さんの方が、風邪を引いていてくしゃみがとまらない。ハークショーンとやらかしたのだが、何と口を押さえないで額を押えてやったもんだから、トレイの上にバイキンが全部まきちらされてしまった。でも普通、日本だったら口を押えるよね? 中国の風習では、くしゃみをすると何かが頭からとび出してしまうとでも思うのだろうか。口を押えないで、額を押える事になる。まあ、それはそれで良いのだが、何しろくしゃみをした先がトレイの上だから、たまりません。勿論私は何も食べないで、パスをいたしました。 さて、欧米では、くしゃみをすると、“神の祝福あれ”と必ず言う。イギリスでもフランスでもドイツでも、言いまわしこそ違え、必ず言う。日本じゃ、せいぜい“お大事に”かなんか言って終りになる所だ。ま、所変れば品変るという事かな……?

七福神 7 Gods of Good Luck

 日本人は、何かと言うと、神だのみが大好きだ。初詣からはじまって、四季おりおりの神事、結婚式や葬式は勿論の事、家を建てる時には地鎮祭、試験を受ける時は天神さま、角のお地蔵さんにはお団子、お稲荷さんには油揚げ、おみくじから、七夕から、クリスマス……と枚挙にいとまが無い。 かく言う私も、システム手帳のファイルの中に、弁天さまのお札と飛行機事故よけのおまじないが入っている。 地方に行って田舎道に、荒神さまがまつってあったり、黒光りした、大黒さんなんかがかざって有ったりするのは、なつかしい感じがして好きだ。 面白いのは、日本の神様は国籍がさまざまだという事だ。大黒はインド、布袋さん寿老人は中国、七福神なんかいわば、国連の様なもので、全員で合奏すると、どんな風になるのかなーっという感じで作ってみました。

花祭 Fiesta

 子供の頃、良く学校でものをもらって帰ったもんだ。天長節に紅白のまんじゅうとか、シンガポ-ル陥落でココナッツ入りのクッキーなんかをもらった。花祭には、担任の本間先生からおしゃかさまの天上天下唯我独尊のお話を聞いてから、甘茶を頂いた。 最近の小学校では、どうなんだろう? 多分、クッキーとか甘茶の成分とか、PTAが知りたがるかも知れないし、あんまり子供に甘いものをやらないで下さい、等と文句を言う親もいるかも知れない。という事で、やっぱり昔は色々とおおらかで良かったな、と思ってしまいます。 いずれにしても、この花祭は、おしゃかさまとあまり関係のない南米の祭、フィエスタを頭に浮べて作曲しました。

入学式 Entrance Ceremony

 最近は妙にあたたかくなって来たと思いません? 地球全体が、温暖化の傾向で、その内に、東京やニューヨークは、海面下に水没してしまうらしい。そう言えばたしかに東京も、昔はもっと寒かったなー、と子供の時に出来たしもやけのあとを掻きながらそう思う。 僕の小学校の入学式の日も、本当に寒かった。小雪はちらつくし、風は強いし、おふくろに手をひかれながら、グシュグシュと泣いていたのを覚えている。それでも新しい帽子に蛇腹の制服、ピカピカの編上靴がほこらしくて、入学式って何だかめでたいなー、と今でもそう思う。 その話をヴァイオリンのギャビンにしたら、入学金は払わなければいけないし、高い月謝は払わなければいけないし、何がそんなにめでたいんだ?と言われてしまった。 ま、そりゃそうですけれど……、でもやっぱり入学式はいいよなーと思ってしまいます。

初日の出 The Sunrise on New Year's Day

 ここの所、日本で元旦を迎える事が少なくなった。一年中馬車馬の様に働いて、やっと取れた正月休みも家にいるとなると訪問客や、電話で結構忙しい上に、急ぎの仕事なんかを、泣き落し戦術で引き受けることになったりするもんだから、結局ちゃんと休めないままに二月になって仕事が始まってしまう。じゃ、日本にいなけりゃいいんだ、という訳で、この何年か日本のお正月を味わっていない。ハワイなんかでも、大晦日は、カウントダウンで、港の船が一斉に汽笛をならしたり、あちこち爆竹がなったり、花火があがったりするのはにぎやかで良いが、次の日になると、もうあっけらかんとして仕事に行ったりするもんだから、こちらとしても、朝から酒を呑んだりするのは、やや気がひけないでもない。初詣から始まって、松がとれる迄のあの感じというのは世界中何処へ行っても味わえない、日本独特のものだと思う。 太陽なんか、朝になりゃ、必ず昇って来るのに、元旦だけ大騒ぎをして、早起きしたりするのは、どうやら日本人だけらしい。 かくいう私も、初日の出は何時もなるべく見ようと思う内の一人だが、もう何年前になるだろう。正月箱根に行っていて、酒を呑んでいる内に、そろそろ夜が明けて来たもんだから、よし、初日の出だーという訳で、表へ出た。 滅茶苦茶寒い上に、雲が出ているので、ほとんどあきらめかけたら、何か東のほうがバラ色になって来た。太陽の本体の方はかくれて見えないのに、相模湾に反射した光と雲の具合で何とも言えない色に染まって行く。寒さも忘れてしばらく立ちつくして見入ってしまった。

※このライナー・ノーツは、CD制作当時に書かれたものです。