音楽畑6 Le Monde
収録曲
- 1.鯨のボレロ
- 2.ローレンシャン
- 3.メイプル・ロード
- 4.風の子守歌
- 5.クロス トゥ ミィ
- 6.自由の大地
- 7.オラ オラ
- 8.ダンス オブ シルクロード
- 9.ジプシーローズ
- 10.コスモス
- 11.コンソレーション
LINER NOTES
鯨のボレロ Whale's Bolero (サントリー生ビール CM曲)
鯨って大きいくせに、可愛い目をしてる。馬でも兎でもそうだけど、あまりものを言わない動物に限って、訴える様な、潤んだ様なやさしい目をしているのは困る。兎とか羊とか、ヨーロッパの人は好んで食べる。食べつけると一寸、病みつきになる様なおいしさだけれど、ヨーロッパの人は料理をしながら、あの訴える様な優しい目を想い出さないのだろうか?
もっとも僕も尾の身や、コロなんか大好きだけど、鯨の可愛いい目や知能指数の事なんか考えないか…。
それじゃ、いかんと言っているのが、ニュージーランドの団体、グリーンピースです。知ってか知らずか、今日も鯨は大空を悠々と渡って行く。
ローレンシャン Laurentians
カナダは湖の国だ。国民5人に湖が一つという割合だと誰かが冗談ぽく教えてくれたけど、あながちでたらめでもなさそうだ。一寸郊外へ出ると、美しい小さな湖がいたる所に点在している。
特に、ケベックから車で数時間程行ったローレンシャンは、宝石の様な青い湖をかかえて、この世のものとは思えない美しさと、静けさに包まれている。
メイプル・ロード Maple Road
北海道の紅葉の美しさを良く人は口にするが、カナダの紅葉は、はるかにそれを越えて息を呑む程の美しさらしい。
らしい…と言ったのは、実はまだその美しさを実際に目にした事がないからだ。
行けども行けども果てしなく続く紅葉の原野、もし、そこに人の存在がなかったら、美しいだけに、逆に少し無気味ささえ感じられる訳だが、トロントにしてもオタワにしても、心のあたたかな人達が生活していて、そこでは、非人間的な美しさのメイプルロードも、ひときわ優しさと輝きを増す、というお話。
風の子守唄 Lullaby Of The Wind
島国の日本に住んでいると、遠い地平線の彼方に限りない憧れを感じる。おのれの体力の限界はさておいても、ずっと西の方に歩いて行けば、中国からインド・ペルシャを通って、ヨーロッパにたどり着けるというのは実に魅力的だ。子供の頃、九州と朝鮮半島がつながっていない事がなんと悲しかったことか。
そうした旅人達のいくつかの想いがこめられた、シルクロード。
今宵の宿にたどり着いてまどろみの内に聞くは、千古から吹き続ける風の砂面をサラサラと渡って行く音。
明日は何処(いづこ)の町で聞くのやら、この“風の子守唄”。
クロス トゥ ミィ Close To Me
ジャズと言うと何かいろんなプレーヤーの名前を知っていたり、レコード・ナンバーなんかバッと言えたりしないと、演奏したり、語ったりする資格がないみたいだけど、僕はジャズが大好きだ。
勿論、ほとんどジャズメンの名前は言えない。
ロンドンと言うとニューヨークと違って、同じジャズでもなんかこう軽いコマーシャルな2 beatを想像してしまう。
最近、そう言えば、チークダンスなんか出来るダンスホール(古いか?)みたいなものもなくなってさみしい。
たまにはダンサブルな2 beatもいいんじゃないかなあ~と思います。
自由の大地 The Free Land (TBS系列『日曜特集・新世界紀行』テーマ曲)
TBS系列 『新世界紀行』のテーマとして作曲したもの。 生きる事って何だろう? 人間って何だろう? 考えすぎてわからなくなったら、一寸休んで、この曲を聞き給え。
オラ オラ Ola Ola
ブラジルは何回行ったかな?
最初はリオの音楽祭で、1960年。楽しかったなあ…。あれからすっかりブラジルに魅せられて、カーニバルも二回見たし、友達も何人か出来たし、サンパウロの盆踊りにも参加したし、何時でも行きたいなあと思っている。難を言えば、飛行機に乗っている時間が長過ぎておしりが痛くなる事位だ。
“オーラ、カツ、元気?” “オーラ、ターニヤ、君も元気かい?”こうして、声をかけ合いながら友達の輪が広がって行き、まことにオーラかな国、ブラジル、来年あたり、又、行ってみようと!
ダンス オブ シルクロード Dance Of Silk Road
法隆寺に描かれている天女と流れる雲が、シルクロードはマッコークツ(莫高窟)の壁面に刻まれている天女の舞と同じものと言う事を貴方は知っていました?
薄暗い御堂の中に、ほのかに浮かぶ天女達のたおやかな舞に何時しか心は遠く、西域の地へ飛んで行く。
ジプシー ローズ Gypsy Rose
日本人は欧米人に比べるとクールで無表情だと言われる。僕なんかもどっちかと言えばそしらぬ顔をしながら音楽をやりたい方だ。
悲しい時は悲しくって、楽しい時はワアワア騒いだ方が身体にいいんじゃないの? という意見もある。ほっといてくれ、わしゃ、ワビサビの世界に生きるんじゃ、という意見も勿論とり上げたい。
しかし、あまり血の気が多くてサッカー場で何人も人が死んだりするのは問題だ。3年後に迫ったバルセロナのオリンピックなんかも一寸心配になる。とは言え、
おれ達だって、切れば赤い血が出て来るんだぜ、なあ?ジプシーの兄弟よ。
コスモス Cosmos
終戦直後から、アメージング・ストーリーのペーパーバック等あさっていた、SF大好き少年OBとしては、月やら火星やら実際に人が出かけて行くのは、うれしい様な悲しい様な複雑な想いが有ります。
今度はなんと、科学者でもなく軍人でもない、一介のテレビ屋さん(…と言って悪ければ、ごく普通のサラリーマン)で有る。TBSの社員がなんと、ソ連の宇宙船に乗り組む事になったと言うのだから、世の中は随分と変わったものだ。
いいなあ、僕も乗りたい。ヘリコプターも、飛行船も、コンコルドもみんな乗ったけど、宇宙船はまだだ。
轟音と共に白い雲をつき抜けると、そこは沈黙の世界、真空の暗闇の中に真青な地球がぽかっと浮かんでいて、黄金の太陽のコロナの中に神の摂理と永遠の真理を見る。
何事のおわしますかは知らねども、願わくば天上に平和の神のあらせられん事を信じようではないか? 諸君!
コンソレーション Consolation
男とはつらいものだ。仕事に疲れ、家庭に安らぎを見い出せず、一杯の酒になぐさめを求め、ふとした人の優しさに心惹かれ、又、人生に立ち向かって行く。
そこで、酒にも女の優しさも縁の無い世界中の男性同志諸君に、この曲を捧げたい。
心おだやかに、気持ち安らかに、いやな事は全て忘れて、明日への活力としてほしいのダ!!
※このライナー・ノーツは、CD制作当時に書かれたものです。