WORKSCD / DVD

音楽畑11 NATURE

音楽畑11 NATURE

発売日
1994.7.25
品番
WPC6-8047
価格
¥2,816(本体) + 税

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収録曲

  1. 1.自然紀行
  2. 2.嵐が丘
  3. 3.夢海岸
  4. 4.秋風の頃
  5. 5.想い出のビギン
  6. 6.ナイト・クルーズ
  7. 7.故郷に帰りて
  8. 8.桜吹雪
  9. 9.学園通り
  10. 10.朝靄の中で

LINER NOTES

自然紀行 Nature

 10作目のThe Earthを去年書き上げてみて、地球はつくづく病んでいるなー、と思った。何とかしないと、もう手遅れかも知れないとも思った。とりあえず、絶滅しかかっている動物や植物を御紹介して、ささやかな警鐘を鳴らしたつもりだが、今回11作目は、病んでいるとは言え、まだまだ素敵な自然が地球には残っている訳で、色々なシーンと重ね合わせながら、それぞれの心の風景を描き出してみたつもりです。
 この素晴らしい自然を守るためには、一体我々は何をしたら良いのか、を考えるよすがに少しでもなれば、私は嬉しいのです。

嵐が丘 Windy Hill

 昔から嵐が大好きで、台風シーズンなんかになると、もうワクワクしてしまって、ラジオにかじりついて、夜遅く迄、ニュースを聞いてしまったりする。どうやら直撃しそうだなどという事になれば、ガラスに目貼りをしたり雨戸を補強したりと、家族全員が妙にかいがいしくなってしまって、それが又嬉しい。
無事に台風をやりすごして、明けて見れば、庭中に折れた枝やら葉っぱやら、青い柿の実なんかが落ちていて、澄み渡った青空に巻き雲なんか散らばっていれば、最高なんです。

夢海岸 Dream Coast

 海岸というのは、何処の国に行っても、どうも僕は何時もすこしさみしい。打ち寄せる波のしぶきが紫色の靄になったり、鴎が飛んだりするのは勿論さみしいけど、太陽のサンサンと輝く浜辺に人が大勢さんざめいているのも、なんだか物悲しいもんだ。それでも夏が来れば、やっぱり海に一度は行ってみたくなる。何時か何処かで夢に見た、海辺へみんなで出掛けましょう。オイルにまみれた真っ黒な海鳥なんかいない、夢の海岸に行きましょう。

秋風の頃 Autumn

 フランスには、パステル調の淡いブルーの空が良く似合うし、イギリスの田園風景には、濃い緑の色が欠かせない様に、日本は何と言っても、白い民家の壁と、庭先になっている柿の実の色だろう。高く晴れ上った青空をバックに、それはまことに鮮やかなジャパネスク(日本調)。吹き過ぎる風にふと秋を感じる頃、群をなして舞い飛ぶ赤とんぼなんかも、これ又捨てがたい。

想い出のビギン Love Of My Life

 ビギン・ザ・ビギンとか、ナイト&デイとか聞くと、昔の良き時代を想い出す。そんな事言うと、なんか年寄りみたいだと思われそうだけど、あの頃は、なんか色んな事が単純で良かった。ヒロインは皆、二枚目。恋人役は、可憐な美少女。庭つきの白い家に住んで、最後はめでたしめでたしのハッピーエンド。
先年、娘の学校の有るコネチカットに行ったら、丁度湾岸戦争の後で、庭つきの白い家に、黄色いハンカチが結んで有って、久し振りに何か判りやすい景色を見た思いをしました。

ナイト・クルーズ Night Cruise

 歩いている時と、車に乗って移動している時とでは、町の表情が随分違うなぁ、と思ってしまう。旅先でレンタカーすると、急に自分がパリジャンになったり、ニューヨークっ子になったりするのは、本当に面白い。 お気に入りのBGMをかけながら、ゆっくりと夜の街をクルーズすれば、そこはほら、もう見知らぬ異国の町並み。行きちがう女性の顔も、何故か何時もと違う美しさに輝いて見えます。

故郷(ふるさと)に帰りて My Hometown

 どんなに旅が楽しくても、所詮はストレンジャー。山海の珍味も、優しき人の心も、ほんの一刻(ひととき)のこと。帰る場所が有るからこそ、いずれの地をさまよっても楽しいので有って、帰る所なければ、糸の切れたたこ。まことの放浪者には、心の休まる時もない。故郷は遠くに有りて思うもの、などと誰かがのたまったけれど、久し振りに故郷の地におり立てば、あたたかさが身体中にしみ渡って来る。どんなに様変りしようとも、心の中の故郷だけは、何年たっても昔と変らぬ風景だ。

桜吹雪 Sakura

 家の門を出て左に曲ると、急な下り坂が有る。ドーンとおり切ると細長い公園になっていて、環7から淡島まで、1km程の桜並木が続いている。普段は静かな住宅街も、お花見どきになると大変な人出で賑わう事になる。 誰にでも、人に教えたくないお花見のスポットが有るだろうと思うけど、僕の秘密の場所は、その細長い公園から一寸入った、お寺の境内だ。秘密だから、勿論それ以上は言えない。…と言いながら、かなり具体的に言ってしまった。まずい。
さて、桜は言わずと知れた、日本の国花で有る。つぼみも美しい。2分咲き5分咲きと、満開迄の過程も美しく、満開に至っては、風の無い暖かな春の早朝なんかに、ミシッと花びらがおしくらまんじゅうをしている所は、まさに圧巻と言える。
美しくって、圧巻よりもっとすごいのは、一体何と言ったら良いか判らないけど、昨日のお花見が雨でながれた次の日の朝、音も無くハラハラと散りかかる様は、「ヨー!待ってました!!」と叫びたい。午後から吹きはじめた風に降りしきる、桜吹雪を全身に浴びると、遠山の金さんならずとも、これにて一件落着と申し上げたい気持になる。
それではここで一首。「桜など咲くも咲かぬもかかわりなし。君に逢わねば、さみしきこの春。」

学園通り Campus (みちのく銀行CM曲)

 学校と言えば、まず友達の顔、先生の顔と来て、次に想い出すのは、通学路だ。小学校の時は桜並木、中学は、武蔵野名物けやき並木。パリに留学してからは、サンラザール駅から坂を昇って左に折れたマドリッド通り。何の変哲もない通学路だが、なつかしい青春の想い出がそこここのカフェや、楽器店に、一杯つまっている。3年間通った音楽院も、もうそこには無い。

朝靄の中で Misty Morning

 まだ明けやらぬ光の中に、鳥達のさえずりがきこえる。谷間の瀬音がきこえる。まもなく陽が昇って来る気配に、部屋の窓を開け放つと、外は一面の深い霧の中。
ボヤーっと外をながめている内に、遠い教会の鐘が、かすかに朝の刻(とき)を告げはじめる。少し風が出て来た様だな、と思うまもなく、目の前の靄がさっと晴れて、振りあおぐまん前は、切り立った様なアルプスの山々。

※このライナー・ノーツは、CD制作当時に書かれたものです。